| 微小部分の電場をベクトルとして足し合わせる | |
|---|---|
| または、電位を足し合わせてから微分する |
レッスン
理論 — 帯電した棒・円環・円板がつくる電場
連続的に分布する電荷がつくる電場は、各微小部分がつくる電場のベクトル和の極限です。それぞれの電荷dqを点電荷とみなせるほど小さくすると、E = k∫dq r̂/r²。ここでk = 1/(4πε₀) = 8.988 × 10⁹ N·m²/C²です。電位は方向を考えずに足し合わせればよく、V = k∫dq/rとなります。
各記号の意味
dq- 微小部分の電荷。線上ではλ dx、面上ではσ dA
λ, σ- 線電荷密度と面電荷密度。一様な分布では、それぞれQ/LとQ/(πR²)
r, θ- 微小部分からPまでの距離と、その線分が軸となす角
公式の導き方
- 電荷を微小部分に分ける。各部分の電荷をdqとします。Pでは点電荷と同じように、微小部分とPを結ぶ直線に沿って、大きさk dq/r²の電場をつくります。
- 対称な位置の微小部分を組にする。軸を挟んで対称な部分は、同じ大きさの電場をつくります。軸に垂直な成分は逆向きなので打ち消し合い、軸方向の成分dE cos θ = dE·z/rだけが残ります。
- 残った成分を積分する。円環では、どの微小部分もPからの距離が√(z² + R²)で等しくなります。dqに掛かる因子が共通なので、積分はその因子にQを掛けるだけです。
- 円環を集めて円板をつくる。半径r、幅drの円環には、dq = σ·2πr drの電荷があります。手順3で求めた円環の電場を、r = 0からRまで積分します。
- 電位を積分で求め、微分してもよい。電位Vは方向をもたない数の和なので、成分に分ける必要がありません。軸上の電場は、Vの軸方向の傾きに負号を付けたものです。
- 前提
- 電荷は静止し、一様に分布しているものとします。ただし、λやσが位置の関数として与えられる問題では、その関数をdqに含めて積分します。媒質は真空、または真空より誘電率が0.06%大きい空気です。
全プロセスの詳細解説
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棒の延長線上の電場 3 ステップ
長さ10 cmの棒に10 nCの電荷が一様に分布している。棒の延長線上で、一方の端から5 cm離れた位置の電場を求めよ。
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棒をx軸上のx = 0からx = Lに置き、Pをx = L + dにとります。位置xにある微小部分dxからPまでの距離はL + d − xです。どの部分の電場も棒に沿って同じ向きなので、そのまま足し合わせられます。
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棒の全体にわたって積分すると、
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d = 0.05 m、L = 0.10 mを代入すると、
解答
1.198 × 10⁴ N/C。向きは棒の延長線に沿って、棒から遠ざかる向きです。dがLより十分大きければ、式は点電荷の電場kQ/d²に近づきます。
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棒の垂直二等分線上の電場と無限長直線電荷 4 ステップ
長さ20 cmの棒に10 nCの電荷がある。垂直二等分線上で中点から10 cm離れた位置の電場を求め、線電荷密度が同じ無限長直線電荷の場合と比較せよ。
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棒をx軸上の−L/2からL/2に置き、Pを(0, y)にとります。xと−xにある微小部分はPから等距離にあり、電場のx成分は打ち消し合い、y成分は加わります。そこで、y成分を積分します。
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∫dx/(x² + y²)^(3/2) = x/(y²√(x² + y²))を使って積分すると、
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λ = 5.0 × 10⁻⁸ C/m、y = 0.10 m、L = 0.20 mを代入すると、
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Lを限りなく大きくすると、平方根の項はL/2に近づくので、
解答
6,355 N/Cで、棒に垂直な向きです。無限長直線電荷なら8,988 N/Cなので、この棒の電場はその70.7%、つまりsin 45°倍になります。Pから棒の各端を結ぶ線が、垂線となす角は45°です。
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円環の軸上の電場と、その最大値 4 ステップ
半径10 cmの円環に10 nCの電荷がある。軸上で中心から10 cm離れた位置の電場と、軸上の電場が最大になる位置を求めよ。
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どの微小部分もPからの距離は√(z² + R²)です。軸に垂直な成分は円環全体で打ち消し合い、各部分の軸方向の成分dE·z/rが加わります。
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z = R = 0.10 mでは、
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最大となる位置は、dE/dz = 0より、
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その位置での電場は、
解答
中心から10 cmでは3,178 N/C。最大値は3,459 N/Cで、z = 7.07 cmの位置でとります。中心での電場はゼロです。
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円環の電場を足し合わせて求める、円板の軸上の電場 3 ステップ
半径10 cmの円板の面上に、10 nCの電荷が一様に分布している。軸上で中心から1 cm離れた位置の電場を求め、面電荷密度が同じ無限平面の場合と比較せよ。
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σ = Q/(πR²) = 3.183 × 10⁻⁷ C/m²です。円板を半径r、幅drの円環に分けます。それぞれの電荷はdq = σ·2πr drで、軸上につくる電場は円環の式から求められます。
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u = z² + r²、du = 2r drと置換して、r = 0からRまで積分すると、
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z = 0.01 mでは、
解答
1.619 × 10⁴ N/C。無限平面の電場σ/2ε₀ = 1.798 × 10⁴ N/Cの90.0%です。
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半円弧の中心の電場 3 ステップ
細い棒を半径10 cmの半円弧に曲げ、10 nCの電荷を与えた。円の中心の電場を求めよ。
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λ = Q/(πR) = 3.183 × 10⁻⁸ C/mです。直径を基準に角度φをとります。φの位置にある微小部分の電荷はλR dφで、中心までの距離はR。π − φの位置にある部分と組にすると、直径方向の成分が打ち消し合い、直径に垂直な成分が残ります。
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半円弧全体にわたって積分すると、
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数値を代入すると、
解答
5,722 N/C。対称軸に沿って、円弧の中点から遠ざかる向きです。同じλをもつ無限長直線電荷から距離Rの位置でも、電場は2kλ/Rとなり、同じ値が得られます。
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四分円弧の電場を成分ごとに求める 3 ステップ
半径10 cmの四分円弧に10 nCの電荷がある。電場の各成分を積分して、中心の電場を求めよ。
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中心を原点とし、円弧をφ = 0からφ = π/2の範囲に置きます。λ = Q/(πR/2) = 6.366 × 10⁻⁸ C/mです。φの位置にある微小部分がPにつくる電場は、その部分から遠ざかる−(cos φ, sin φ)の向き。この配置では、成分を打ち消し合う相手はありません。
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0からπ/2まで積分すると、
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両成分を合成すると、
解答
8,092 N/C。円弧を二等分する45°の直線に沿って、円弧から遠ざかる向きです。対称性を使い、E = (2kλ/R) sin(θ₀/2)にθ₀ = 90°を代入しても、同じ結果が得られます。
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円環の電位から電場を求める 2 ステップ
問題3の円環について、軸上のz = 10 cmにおける電位を求め、その電位から電場を求めよ。
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電位は方向を考えずに足し合わせられます。どの微小部分もPから等距離なので、
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軸に沿って微分すると、
解答
V = 635.5 V。−dV/dzから、問題3と同じ3,178 N/Cが得られます。電場を成分に分ける必要はありません。
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電荷が一様に分布していない棒 4 ステップ
x軸上のx = 0からx = 0.50 mに棒があり、線電荷密度はλ = αx、α = 4.0 × 10⁻⁸ C/m²である。全電荷と、x = −0.10 mでの電場を求めよ。
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λが位置によって変わるので、全電荷も積分で求めます。
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d = 0.10 mとおくと、位置xの微小部分からPまでの距離はx + dです。どの部分もPに−x方向の電場をつくるので、
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xを(x + d) − dと書き、それぞれ積分すると、
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数値を代入すると、
解答
Q = 5.0 nC、E = 344.6 N/Cで、電場は−x方向です。同じ5.0 nCを一様に分布させれば、kQ/(d(d + L)) = 749 N/Cになります。この棒では電荷の多くがPから遠い端に偏っているため、電場が小さくなります。
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補充問題(答えのみ)
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長さ30 cmの棒に−6.0 nCの電荷が一様に分布している。棒の延長線上で、一方の端から10 cm離れた位置の電場を求めよ。
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1,348 N/Cで、棒に向かう向き。
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十分に長い直線状の導線に、線電荷密度2.0 μC/mで電荷が分布している。導線から4.0 cm離れた位置の電場を求めよ。
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8.988 × 10⁵ N/Cで、導線から遠ざかる向き。
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円環の軸上の電場が、zがRより十分大きいときにkQ/z²に近づくことを示せ。また、この値との差が1%以内になる距離を求めよ。
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kQ/z²に対する比は(1 + R²/z²)^(−3/2)で、1に近づく。z = 12.2Rで、この比が0.99になる。
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半径5.0 cmの円板に、面電荷密度σ = 2.0 μC/m²で電荷が分布している。中心と、軸上で中心から5.0 cm離れた位置の電位を求めよ。
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中心では5,647 V、z = 5.0 cmでは2,339 V。
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半径Rの円環の半分に+Q、残り半分に−Qの電荷が、それぞれ一様に分布している。中心の電場を求めよ。
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4kQ/(πR²)で、正に帯電した側から負に帯電した側へ向かう。各半円弧がつくる電場は2kQ/(πR²)で、同じ向きに加わる。
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長さLの棒に電荷Qが一様に分布している。垂直二等分線上で中点から距離yの位置の電位を求めよ。
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V = (2kQ/L) ln[(L/2 + √(y² + L²/4))/y]。
学習の道すじ
電場と磁場はどう生まれるか
参考文献 (3)
- The method and four of the page's closed forms, each derived there: the line segment above its midpoint and the infinite line as its limit (Examples 5.5, 5.6), the ring on its axis (5.7), the disk on its axis and the infinite plane σ/(2ε₀) (5.8, Eq. 5.15): S. J. Ling, J. Sanny and W. Moebs, University Physics Volume 2, OpenStax (2016), section 5.5, “Calculating Electric Fields of Charge Distributions”.
- The potentials on the axis of a ring and a disk and on the bisector of a finite line (Examples 7.13–7.15), and the ring's field recovered as E_z = −∂V/∂z (Example 7.18): S. J. Ling, J. Sanny and W. Moebs, University Physics Volume 2, OpenStax (2016), sections 7.3, “Calculations of Electric Potential”, and 7.4, “Determining Field from Potential”.
- The standard graduate-entry text in which the field of a continuous distribution is written as the integral of k dq r̂/r²: D. J. Griffiths, Introduction to Electrodynamics, 4th ed., Cambridge University Press (2017). DOI 10.1017/9781108333511