| ガウスの法則:閉曲面から出る電束 | |
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| 一様な電場中で平面を貫く電束 |
レッスン
理論 — ガウスの法則と電束
面を貫く電束はΦ = ∫E·dAで表されます。電場の面に垂直な成分を、面全体にわたって積分したものです。ガウスの法則によると、どんな閉曲面でも、外向きの電束は内部の電荷をε₀で割った値になります。式で書けば、∮E·dA = Qenc/ε₀です。
各記号の意味
dA- 微小な面の面積ベクトル。大きさはその面積で、向きは閉曲面の外向き
Q_enc- 閉曲面の内部にある電荷。外部の電荷による電束は、面全体で差し引きゼロになる
ε₀- 真空の誘電率。8.854 × 10⁻¹² C²/(N·m²)
公式の導き方
- 電束は、電場の面に垂直な成分と面積の積。面積Aの平面を一様な電場Eが貫き、電場と面の法線がなす角をθとすると、面に垂直な成分はE cos θです。
- 点電荷による電束は、囲む面の形や大きさによらない。qを中心とする球面では、半径がいくつでも電束はkq/r²と4πr²の積です。rが消えてq/ε₀になります。別の形の面で囲んでも同じ電気力線が通り、電荷が複数あれば、それぞれの電束を足し合わせます。
- Eを積分の外に出せる面を選ぶ。対称性を利用し、電場が面に垂直な部分ではどこでも同じ大きさ、それ以外では面に平行になるように選びます。電束はEと、電場が垂直に貫く部分の面積との積になります。
- 対称性に応じた三種類のガウス面。球対称な電荷分布には球面、線電荷や十分に長い円柱には長さLの円柱面を使います。円柱の両端面の電束はゼロです。平面状の電荷分布には、その平面をまたぐ円柱状の面を使い、電束があるのは両端面だけです。
- E·A = Qenc/ε₀をEについて解く。点電荷、線電荷、平面状の電荷がつくる電場の式が、それぞれ得られます。
- 前提
- 電荷は静止しているものとします。ガウスの法則自体は、閉曲面の形や電荷の配置によらず成り立ちます。対称性が必要なのは、この法則からEを求めるときです。円柱の長さと平面の広がりは無限とします。実際の棒や平板でこの近似が使えるのは、端や縁から十分に離れた場所です。
全プロセスの詳細解説
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平面を貫く電束 2 ステップ
大きさ2.0 × 10⁴ N/Cの一様な電場が、一辺20 cmの正方形を貫いている。電場と正方形の法線がなす角が60°のとき、正方形を貫く電束を求めよ。
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面を貫くのはEの法線方向の成分です。
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A = (0.20 m)² = 0.040 m²を代入すると、
解答
400 N·m²/C。正方形を傾けて電場が面に沿うようにすると(θ = 90°)、電束はゼロになります。
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立方体の中心にある電荷 2 ステップ
一辺20 cmの立方体の中心に、10 nCの電荷がある。一つの面を貫く電束を求めよ。
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電荷を囲む面の形によらず、立方体全体から出る電束はq/ε₀です。
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対称性から、電束は六面に等しく分かれます。
解答
各面で188.2 N·m²/C。立方体の一辺の長さにはよりません。
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立方体の頂点にある電荷 2 ステップ
同じ10 nCの電荷を立方体の頂点に置く。各面を貫く電束と、立方体全体を貫く電束を求めよ。
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この頂点に同じ立方体を八個集めると、電荷を内部に囲めます。対称性から、各立方体を貫く電束は等しくなります。
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頂点に集まる三面では、電気力線が面に沿うため電束はゼロです。残る三面に、立方体の電束が等しく分かれます。
解答
立方体全体では141.2 N·m²/C。遠い側の三面ではそれぞれ47.06、近い側の三面ではゼロです。
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帯電した球の内側と外側 4 ステップ
半径10 cmの球全体に、10 nCの電荷が一様に分布している。中心から5 cmおよび20 cmの位置でのEを求めよ。
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球の内側では、半径rのガウス面が囲む電荷は全体の(r/R)³です。
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この球面にガウスの法則を適用すると、
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r = 0.05 mを代入すると、
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外側ではガウス面がQのすべてを囲み、電場は点電荷の場合と等しくなります。
解答
5 cmでは4,494 N/C、20 cmでは2,247 N/C。表面の電場は8,988 N/Cです。内側では電場がrに比例するため、半径の半分の位置では電場も半分になります。外側では、中心からの距離が半径の二倍になると四分の一になります。
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導体球殻の内部にある電荷 3 ステップ
内半径10 cm、外半径15 cmの金属球殻の中心に、10 nCの電荷がある。球殻自体の電荷は5 nCである。球殻の内面と外面の電荷、および中心から5 cm、12 cm、20 cmの位置でのEを求めよ。
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金属中ではE = 0なので、金属中にとった球形のガウス面が囲む電荷は差し引きゼロです。したがって内面の電荷は−qとなり、球殻の残りの電荷は外面に分布します。
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空洞内の5 cmの位置では、ガウス面が囲む電荷はqだけです。
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金属中の12 cmではE = 0です。外側の20 cmでは、ガウス面がq + Qsを囲みます。
解答
内面は−10 nC、外面は15 nC。Eは5 cmで3.595 × 10⁴ N/C、12 cmで0、20 cmで3,370 N/Cです。
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帯電した円柱の内部 3 ステップ
半径10 cmの十分に長い円柱に、単位長さあたり10 nCの電荷が体積全体に一様に分布している。軸から5 cmの位置でのEを求めよ。
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半径r、長さLの同軸の円柱面をガウス面にとります。電束があるのは側面だけです。内部に含まれる電荷は、長さLの部分にある全電荷の(r/R)²となります。
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Eについて解くと、
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r = 0.05 mを代入すると、
解答
898.8 N/C。同じλを持つ無限に細い線電荷なら、5 cmでの電場は3,595 N/Cです。その四分の一になります。
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同軸ケーブル 2 ステップ
同軸ケーブルの内側の導線は半径2.0 cmで、単位長さあたり+10 nCの電荷を持つ。半径10 cmの薄い外部導体の電荷は、単位長さあたり−10 nCである。軸から5.0 cmおよび15 cmの位置でのEを求めよ。
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導体間では、円柱形のガウス面が囲むのは内側の導線の電荷だけです。
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ケーブルの外側では両方の電荷を囲み、その和はゼロです。
解答
5.0 cmで3,595 N/C、15 cmではゼロ。両導体の電荷が等量で符号が逆なので、電場はケーブルの内側だけに生じます。
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一枚の平面と二枚の平板 2 ステップ
単位面積あたり10 nCの電荷を持つ、十分に広い平面の電場を求めよ。また、10 cm離れた十分に広い二枚の平板が、単位面積あたり+10 nCと−10 nCの電荷を持つとき、平板間の電場を求めよ。
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平面をまたぐ円柱状のガウス面をとります。両端面の面積はそれぞれAで、どちらの面でもEは外向きです。内部に含まれる電荷はσAとなります。
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平板間では、両平板の電場がともに+から−へ向かい、足し合わされます。外側では逆向きになり、打ち消し合います。
解答
一枚の平面では564.7 N/C。二枚の平板では、間が1,129 N/C、外側がゼロです。いずれも平面や平板からの距離にはよりません。
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電荷が一様でない球 3 ステップ
半径R = 10 cmの球に、ρ = ρ₀r/Rで表される密度で電荷が分布している。ただしρ₀ = 2.0 μC/m³とする。全電荷と、r = 5.0 cmでのEを求めよ。
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面積4πr′²、厚さdr′の薄い球殻に含まれる電荷を足し合わせると、半径rの内側にある電荷は、
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半径rの球面にガウスの法則を適用すると、
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r = 0.050 mでの電場と、r = Rまで積分した全電荷を求めると、
解答
Q = 6.283 nC、5.0 cmでE = 1,412 N/C。内部の式にr = Rを代入すると5,647 N/Cとなり、kQ/R²と一致します。表面で内外の式がつながることも確かめられます。
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補充問題(答えのみ)
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任意の形の閉曲面の内部に、3.0 μCの電荷がある。閉曲面から出る電束を求めよ。
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3.388 × 10⁵ N·m²/C。
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大きさ1,000 N/Cの一様な電場が、半径10 cmの半球の軸に平行である。半球の曲面を貫く電束を求めよ。
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31.42 N·m²/C。半球を閉じる円板にも同じ電気力線が通るので、電束はπR²Eとなります。
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半径5.0 cmの金属球が4.0 nCの電荷を持つ。中心から3.0 cmおよび10 cmの位置でのEを求めよ。
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3.0 cmでは金属中なのでゼロ、10 cmでは3,595 N/C。
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半径2.0 cmの十分に長い円柱に、単位長さあたり5.0 nCの電荷が体積全体に一様に分布している。軸から1.0 cmおよび4.0 cmの位置でのEを求めよ。
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どちらも2,247 N/C。内側では半径の半分の位置で表面の電場の半分になり、外側では半径の二倍の位置でやはり半分になります。
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厚さ4.0 cmの十分に広い板に、ρ = 1.0 μC/m³の電荷が一様に分布している。中央面から1.0 cmの位置と、板の外側でのEを求めよ。
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1.0 cmでは1,129 N/C、外側ではどこでも2,259 N/C。
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立方体のある面の中心に点電荷qを置く。立方体を貫く電束を求めよ。
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q/(2ε₀)。その面の反対側に同じ立方体をもう一つ置くと、残りの半分の電束がそちらを貫きます。
学習の道すじ
電場と磁場はどう生まれるか
参考文献 (4)
- Gauss's law and flux: the flux through a closed surface is the same “regardless of the shape or size of the surface, as long as the surface encloses the same amount of charge”, and a charge outside contributes zero: S. J. Ling, J. Sanny and W. Moebs, University Physics Volume 2, OpenStax (2016), section 6.2, “Explaining Gauss's Law”.
- The symmetric cases worked as here: a uniformly charged sphere inside and out (Example 6.6, E growing linearly inside), a non-uniformly charged sphere (6.7), a cylindrical shell (6.8), and the infinite plane σ/(2ε₀): S. J. Ling, J. Sanny and W. Moebs, University Physics Volume 2, OpenStax (2016), section 6.3, “Applying Gauss's Law”.
- Insight block 3: concentric metal globes, an alternating potential above 3,000 V on the outer one, a detector inside sensitive to about 10⁻⁶ V, and the exponent 2 confirmed to within 2 × 10⁻⁹: S. J. Plimpton and W. E. Lawton, “A Very Accurate Test of Coulomb's Law of Force Between Charges”, Physical Review 50(11), 1936, pp. 1066-1071. DOI 10.1103/PhysRev.50.1066
- Insight block 3: the 1971 high-frequency test, q = (2.7 ± 3.1) × 10⁻¹⁶ for a force of the form 1/r^(2+q): E. R. Williams, J. E. Faller and H. A. Hill, “New Experimental Test of Coulomb's Law: A Laboratory Upper Limit on the Photon Rest Mass”, Physical Review Letters 26(12), 1971, pp. 721-724. DOI 10.1103/PhysRevLett.26.721