等式の変形

目的の文字が単独になるまで、操作をひとつずつ元に戻していきます。一番外側にあるものしか外せません。u を引くより先に a で割ってしまうと、u まで割ることになるからです。

最後にした計算から順に取り消す v=u+at  ⟺  t=v−uav=u+at\iff t=\frac{v-u}{a}
平方を取り消すには平方根を取る A=πr2  ⟺  r=Aπ(r>0)A=\pi r^{2}\iff r=\sqrt{\frac{A}{\pi}}\quad(r>0)
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理論 — 等式の変形923語

ある文字を目的の文字にするとは、同値変形によってその文字だけを等式の片辺に孤立させることです。それが可能かどうかという疑問は、外から見れば同じに見える二つの問いに分かれます。この手法で可能なのか、そしていかなる手法であれ可能なのか、です。

各記号の意味

subject
孤立させようとしている対象の文字です。どの文字を選ぶかで難易度はまったく変わります。式そのものは気に留めませんが、代数的には大きな違いが生まれるのです。
±
偶数乗根が返すもの。二つの候補が現れますが、代数的な操作だけからどちらかを選ぶ方法はありません。
前提
目的の文字との間にあるすべての演算を、外側から一つずつ剥がすように解除できるという前提です。これは、その文字が式中に一度だけ現れる場合にのみ成り立ちます。
成り立たない場合
破綻するのはまったく異なる二つの場面であり、両者を区別することが重要です。文字が複数回現れると、手法の限界を迎えます。s = ut + ½at² は剥がすアプローチを寄せ付けず、そのことはページにも書かれています。しかしこの式は t についての二次方程式であり、別の方法できれいに解けるのです。u = 3、a = 2、s = 20 とすると答えは t = 3.216991 となり、元の式に代入すれば 20.000000 が返ってきます。ここに解けない要素は何一つなく、単に剥がす手法が適していないだけなのです。一方でケプラーの方程式 M = E − e sin E のように、方程式そのものが抵抗することもあります。E は単独の項としてだけでなく正弦の内側にも存在するため、M と e に対する有限回の代数操作では決して孤立させられません。それでも手詰まりというわけではなく、ラグランジュとベッセルはこれを級数として表現しました。その係数を求めるために考案されたのがベッセル関数です。ただ、級数にはその代わりとして境界が伴います。ラプラス限界である 0.662743419349 を下回る離心率でしか収束しません。そして、e = 0.967 のハレー彗星はそこから外れています。したがって、「この式は変形できるか」という問いに対する誠実な答えは、三つの段階に分かれます。この手法では無理だが別の手法なら可能であること。いかなる代数的手法でも不可能だが級数なら可能であること。そして、その級数には有効な範囲があること、です。

全プロセスの詳細解説

  1. 円の面積が78.54 cm²の場合の半径 7 ステップ

    円の面積が 78.54 cm² です。半径を求めてください。そして、代数の役割がどこで終わり、あなた自身の判断がどこから始まるのかを正確に説明してください。

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    1. まずは与えられた公式から始めます。Aが単独で置かれ、rは2乗の中に埋もれています。

      A=πr2A = \pi r^2
    2. 外側から順に処理していきます。rに対して一番外側で行われている計算はπの掛け算なので、まずは両辺をπで割ります。

      Aπ=r2\frac{A}{\pi} = r^2
    3. 次は2乗です。これを外すことで、入力に対して出力が一つに定まらなくなります。だからこそ、単なる平方根ではなく±がつくのです。

      r=±Aπr = \pm\sqrt{\frac{A}{\pi}}
    4. ここでの ± は重要な働きをしています。+5 も −5 も2乗すると 25 になるため、どちらも方程式 r² = 25 の正しい解です。方程式は、r が何を意味するのかを知らないのです。

      (+5)2=25=(−5)2(+5)^2 = 25 = (-5)^2
    5. 数値を代入します。すると r = ±5 cm となりますが、半径は長さなので答えは 5 です。この文は代数ではありません。問題全体の中で、文字の意味を理解していなければならなかったのはこのステップだけです。

      r=±78.54π=±5r = \pm\sqrt{\frac{78.54}{\pi}} = \pm 5
    6. 順方向に計算して確かめましょう。これが唯一意味のある確認方法です。元の公式に 5 を戻し、元の面積になるかを確認します。

      π(5)2=78.54  ✓\pi (5)^2 = 78.54 \;\checkmark
    7. そして、背景が変われば何が変わるのかに注目してください。ある基準線より上か下の高さを表す h² = 25 という同じ式なら、両方の答えが残ります。時間を表す t² = 25 という同じ式なら、時計の開始時点が違っていた場合にのみ −5 が残ります。これら三つのケースで、代数の計算は全く同じです。しかし、答えの捨て方は同じではありません。

      h2=25  ⇒  h=±5(both)h^2 = 25 \;\Rightarrow\; h = \pm 5 \quad (\text{both})

    解答

    r = 5 cm. 代数の計算は正しく ±5 を導き、そこで終わります。5 を選ぶのは半径に関する判断であり、問題の中でここだけが、数式にはできないステップなのです。

  2. 華氏を目的の文字にすると、両方の目盛りが一致する読みが見える 6 ステップ

    C = 5(F − 32)/9 から F を目的の文字にし、沸騰した水で確かめてください。そのうえで、温度計が両方の目盛りで同じ数字を示すことがあり得るかどうかを判断しましょう。

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    1. F は三重に埋もれています。括弧の中、5 を掛ける中、9 で割る中です。外側から剥がしていくので、まず 9 が外れます。

      C=5(F−32)9C = \frac{5(F-32)}{9}
    2. 両辺に 9 を掛け、次に 5 で割ります。三手のうちの二手で、どちらもまだ括弧には触れていません。

      9C=5(F−32)⟹9C5=F−329C = 5(F-32) \qquad\Longrightarrow\qquad \frac{9C}{5} = F - 32
    3. 32 を足すと F が単独になります。三手、これがパネルの数える手数です。確認のカードは 100 °C を並べ替えた式に戻し、212 を得ます。

      F=9C5+32;C=100:  9005+32=180+32=212F = \frac{9C}{5} + 32; \qquad C = 100:\ \ \frac{900}{5} + 32 = 180 + 32 = 212
    4. ここで、この手法が受け付けない問いに移ります。両方の目盛りが同じ値を示す場所を問うことは F = C と置くことであり、文字が両辺に現れます。剥がしていく先がもう残っていないため、ツールが立ち止まるのはこの状況です。

      F=C:C=9C5+32F = C: \qquad C = \frac{9C}{5} + 32
    5. ここでは両方の出現が一次なので、一つにまとめられ、剥がす作業がまた始められます。答えは −40 で、確かめもつきます。9(−40)/5 + 32 は −72 + 32 です。

      C−9C5=32  ⟹  −4C5=32  ⟹  C=−40C - \frac{9C}{5} = 32 \;\Longrightarrow\; -\frac{4C}{5} = 32 \;\Longrightarrow\; C = -40
    6. 同じまとめ方が一般の場合にも答えます。華氏が摂氏のちょうど 2 倍になるのは 160 °C、すなわち 320 °F です。k = 1.8 では分母が消えて答えは存在しません。二本の直線が平行で、華氏は 1.8 × 摂氏より永久に 32 だけ先を走るからです。

      F=kC:C=32k−1.8;k=2  ⟹  C=160, F=320F = kC: \qquad C = \frac{32}{k - 1.8}; \qquad k = 2 \;\Longrightarrow\; C = 160,\ F = 320

    解答

    F = 9C/5 + 32、そして二つの目盛りは −40 で一致します。 三手で公式は裏返り、パネルは 100 °C を 212 °F に送り返してそれを確かめます。不動点には、ツールが用意していない四手目が必要です。二つの C をまとめる、という手です。それが通じるのは両方が一次だからであり、ツールが断る変位の公式との違いはまさにそこにあります。

    F=kC  ⟹  C=32k−1.8:k=1→−40,k=2→160F = kC \;\Longrightarrow\; C = \frac{32}{k - 1.8}: \qquad k = 1 \to -40, \quad k = 2 \to 160
  3. 二段階の計算を、後ろから戻す 3 ステップ

    v = u + at を t について解きなさい。

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    1. u + at は、t に a を掛けてから u を足した式です。まず足し算を取り消すために、両辺から u を引きます。

      v−u=atv-u=at
    2. 次に掛け算を取り消します。両辺を a で割りましょう。

      t=v−uat=\frac{v-u}{a}
    3. 数値を入れて確かめましょう。静止した状態(u = 0)から毎秒 10 m/s ずつ速くなると、30 m/s に達するまでに 3 s かかります。

      t=30−010=3t=\frac{30-0}{10}=3

    解答

    a ≠ 0 のとき、t = (v − u)/a。

    t=v−ua(a≠0)t=\frac{v-u}{a}\qquad(a\neq0)
  4. 分数を含む公式 4 ステップ

    レンズの公式 1/f = 1/u + 1/v を v について解きなさい。

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    1. 両辺から 1/u を引いて、1/v だけを残します。

      1v=1f−1u\frac1v=\frac1f-\frac1u
    2. 右辺を通分し、分母が uf の一つの分数にまとめます。

      1v=u−fuf\frac1v=\frac{u-f}{uf}
    3. 両辺の逆数を取ります。0 でない二つの数が等しければ、その逆数も等しくなります。

      v=ufu−fv=\frac{uf}{u-f}
    4. 確かめましょう。u = 30、f = 10 を代入すると v = 15 となります。1/30 + 1/15 は 3/30、つまり 1/10 なので、元の式も成り立ちます。

      v=30020=15130+115=330=110\begin{gathered}v=\frac{300}{20}=15\\\frac1{30}+\frac1{15}=\frac{3}{30}=\frac1{10}\end{gathered}

    解答

    u ≠ f のとき、v = uf/(u − f)。分数ごとに逆数を取って v = f − u とするのは誤りです。検算に使った値を代入すると −20 になってしまいます。

    v=ufu−f(u≠f)v=\frac{uf}{u-f}\qquad(u\neq f)

補充問題(答えのみ)

  1. P = 2(l + w) を w について解きなさい。

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    w = P/2 − l。

    w=P2−lw=\frac{P}{2}-l
  2. V = πr²h を h について解きなさい。

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    h = V/(πr²)。

    h=Vπr2h=\frac{V}{\pi r^{2}}
  3. E = ½mv² を v について解きなさい。ただし、v は正とします。

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    v = √(2E/m)。

    v=2Emv=\sqrt{\frac{2E}{m}}
  4. y = mx + c を x について解きなさい。

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    m ≠ 0 のとき、x = (y − c)/m。

    x=y−cmx=\frac{y-c}{m}
  5. s = ut + ½at² を a について解きなさい。

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    t ≠ 0 のとき、a = 2(s − ut)/t²。

    a=2(s−ut)t2a=\frac{2(s-ut)}{t^{2}}

公式とは、文字が扱いやすい方程式のこと

v = u + at を t について解く操作は、両辺から u を引き、両辺を a で割ることです。3x + 4 = 10 を解く操作は、両辺から 4 を引き、両辺を 3 で割ることです。同じ理由から、同じ順番で、同じ2つの操作を行っています。式が組み立てられた順序を、一番外側から逆算しているのです。知っておくべきことはそれだけであり、等式の変形に特別なルールが存在しないのはこのためです。文字式だと難しく感じるのは、途中で数値として計算できず、最終的な答えも具体的な値ではなく式のまま残るからです。

2乗を外すと二つの答えが返ってくるが、計算だけでは選びようがない

A = πr² を入力し、r について解いてみましょう。ツールは ±√(A / π) と出力します。これは文字通りの意味です。どちらの値も、二乗すれば同じ面積になります。代数計算としての役割はここで終わり、二つの候補が残されました。ここで負の値を捨てるのは、計算の続きではありません。「円の半径は負にならない」という図形としての性質に基づいた判断です。物理の問題で同じ状況になれば、両方の解をそのまま残すことがよくあります。ある高さに到達する放物体の時間は二つあり、早い方の時間は求めていた答えではないことが多いものの、現実には起こり得るからです。代数にはこの二つの状況を区別できません。区別するのは、皆さん自身です。

文字が2回現れると、この方法は使えなくなる

s = ut + ½at² を入力し、t について解こうとしてみてください。ツールは計算を受け付けません。数式を外側からほぐすには一つずつ演算の逆をたどるしかなく、特定の文字を独立させられるのは、式の中にその文字がただ一つ存在する場合に限られます。同じ文字が二箇所にあると、どこに向かってほぐせばいいのか定まらないのです。今回の式は t についての二次方程式になるため解の公式が使えますが、それは全く別の計算手法であり、答えの形も「一つの式」ではなく「二つの解」になります。世の中には、そもそも閉じた形に変形できない数式が数多く存在します。もっともらしく間違った答えを返すくらいなら、計算できない状況だと伝える方が、ツールとしてはるかに誠実なのです。

学習の道すじ

xについて解く:マイナス記号からの積み上げ

参考文献 (1)