分布の特徴を捉える

データを入力するか、下の例を選んでください。比較するときは、もう一組入力します。各グループのドットプロットと箱ひげ図を上下に並べ、共通の目盛りで表示します。箱の下の印は平均値です。四分位数の求め方を切り替えると、Q₁とQ₃が変わり、外れ値の判定境界も変わります。

平均値 xˉ=1n∑xi\bar x=\frac{1}{n}\sum x_i
標準偏差 s=∑(xi−xˉ)2n−1s=\sqrt{\frac{\sum(x_i-\bar x)^2}{n-1}}
外れ値の判定境界 Q1−1.5 IQRQ3+1.5 IQR\begin{aligned}&Q_1-1.5\,\mathrm{IQR}\\&Q_3+1.5\,\mathrm{IQR}\end{aligned}
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レッスン

理論 — 分布の特徴を捉える

分布の特徴を述べるとは、データの意味を踏まえて、形、中心、散らばり、目立って離れた値を説明することです。二つの分布を比較するときは、それぞれの違いを数値とともに述べます。

公式の導き方

  1. 形。ドットプロットやヒストグラムを見ます。山はいくつあるか、ほぼ対称か、右や左に裾が長いか。値のない区間や、値が集まっているところにも注目します。歪度g₁は裾の偏りを数値で表す指標で、右に裾が長いときは正になります。
    g1=1n∑(xi−xˉ)3(1n∑(xi−xˉ)2)3/2g_1=\frac{\frac1n\sum(x_i-\bar x)^3}{\left(\frac1n\sum(x_i-\bar x)^2\right)^{3/2}}
  2. 中心。平均値は、データ全体がつり合う位置です。中央値以下の値も中央値以上の値も、それぞれ少なくとも全体の半分あります。極端な値が一つあるだけで平均値は大きく動くことがありますが、中央値はほとんど動きません。中央値は極端な値の影響を受けにくい指標です。
    xˉ=1n∑xi,M=x(n+12)\bar x=\frac{1}{n}\sum x_i,\qquad M=x_{\left(\frac{n+1}{2}\right)}
  3. 散らばり。標準偏差sは、平均値からの隔たりの大きさを表します。x̄からの偏差の和は必ずゼロになるため、偏差平方和をn − 1で割って求めます。四分位範囲は中央半分の散らばりを表し、中央値と同じく極端な値の影響を受けにくい指標です。範囲は最大値と最小値だけで決まります。
    s=∑(xi−xˉ)2n−1,∑(xi−xˉ)=0s=\sqrt{\frac{\sum(x_i-\bar x)^2}{n-1}},\qquad\sum(x_i-\bar x)=0
  4. 目立って離れた値。Q₁から四分位範囲の1.5倍を超えて小さい値、またはQ₃から四分位範囲の1.5倍を超えて大きい値を、外れ値とします。判定境界とちょうど等しい値は、外れ値に含めません。
    x<Q1−1.5 IQR  ∨  x>Q3+1.5 IQRx<Q_1-1.5\,\mathrm{IQR}\ \ \lor\ \ x>Q_3+1.5\,\mathrm{IQR}
  5. 分布の形に合う指標を選ぶ。ほぼ対称で外れ値のない分布には、平均値とsを使います。裾が片側に長い場合や外れ値がある場合は、中央値と四分位範囲が適しています。二つのグループを比べるときは、同じ指標と共通の目盛りを使い、どちらがどれだけ大きいかを述べましょう。
前提
四分位数は求め方によって変わります。ここでは、TI-84の二分法と、ハインドマンとファンによるタイプ7、タイプ6の三通りを選べます。タイプ7はR、タイプ6はMinitabとSPSSの既定の方法です。データ数にかかわらず、結果が異なることがあります。

全プロセスの詳細解説

  1. 一つの分布の特徴を述べる 3 ステップ

    オールド・フェイスフル間欠泉で、3分以上の噴出の後に観測された175件の待ち時間について、分布の特徴を述べなさい。n = 175、平均値79.99、s = 5.99、最小値64、Q₁ = 76、中央値80、Q₃ = 84、最大値96、歪度−0.04。

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    1. 形:ドットプロットの山は一つで、左右の裾の長さはほぼ同じです。歪度もゼロに近い値です。

      g1≈−0.04g_1\approx-0.04
    2. 中心と散らばり:分布はほぼ対称なので、平均値と標準偏差で特徴を捉えられます。判定境界を求めて、外れ値の有無を確かめます。

      76−1.5×8=64,84+1.5×8=9676-1.5\times8=64,\qquad 84+1.5\times8=96
    3. 64と96は、ちょうど判定境界上にあります。境界上の値は外れ値ではありません。

    解答

    山は一つで、ほぼ対称な分布です。中心は約80分(平均値79.99、中央値80)、標準偏差は約6分で、待ち時間は64分から96分まで。外れ値はありません。

    xˉ≈80,M=80,s≈6,64≤x≤96\bar x\approx80,\quad M=80,\quad s\approx6,\quad 64\le x\le96
  2. 平均値と標準偏差を手計算する 3 ステップ

    9人の生徒が宿題にかけた時間は、10、15、19、20、23、29、29、31、49分でした。平均値と標準偏差を求めなさい。

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    1. 値をすべて足し、nで割ります。

      xˉ=10+15+19+20+23+29+29+31+499=2259=25\bar x=\frac{10+15+19+20+23+29+29+31+49}{9}=\frac{225}{9}=25
    2. 各値の平均値からの偏差を二乗し、その和を求めます。

      225+100+36+25+4+16+16+36+576=1034225+100+36+25+4+16+16+36+576=1034
    3. n − 1 = 8で割り、平方根をとります。

      s=10348=129.25≈11.37s=\sqrt{\frac{1034}{8}}=\sqrt{129.25}\approx11.37

    解答

    x̄ = 25分、s ≈ 11.37分。

    xˉ=25,s≈11.37\bar x=25,\qquad s\approx11.37
  3. 外れ値の影響を受けにくい指標 2 ステップ

    ニューカムの66回の測定値は、平均値26.21、標準偏差10.75、中央値27、四分位範囲7です。外れ値−44と−2を除いた残りの64個では、平均値27.75、標準偏差5.08、中央値27.5、四分位範囲6.5になります。変化が大きいのはどの指標ですか。また、元のデータの特徴を表すには、中心と散らばりのどの指標が適していますか。

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    1. 二つの値を除く前と後で、各指標を比べます。

      xˉ: 26.21→27.75,s: 10.75→5.08,M: 27→27.5,IQR: 7→6.5\bar x:\ 26.21\to27.75,\qquad s:\ 10.75\to5.08,\qquad M:\ 27\to27.5,\qquad\mathrm{IQR}:\ 7\to6.5
    2. 標準偏差は半分以下になり、平均値は1.54動きます。一方、中央値と四分位範囲の変化は、それぞれ0.5です。外れ値の影響を受けやすい指標ほど、大きく変わっています。

    解答

    変化が大きいのは平均値と、特に標準偏差です。二つの外れ値を含む元のデータには、中央値27と四分位範囲7を使うのが適しています。

    M=27,IQR=7M=27,\qquad\mathrm{IQR}=7
  4. 二つの分布を比較する 2 ステップ

    短い噴出の後の待ち時間(n = 97:中央値54、Q₁ 50、Q₃ 59、最小値43・最大値71、歪度0.30)と、長い噴出の後の待ち時間(n = 175:中央値80、Q₁ 76、Q₃ 84、最小値64・最大値96、歪度−0.04)を比較しなさい。

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    1. 中心:中央値の差を求めます。

      80−54=2680-54=26
    2. 散らばり:四分位範囲は9分と8分で、ほぼ同じです。形:どちらも山は一つですが、短い噴出の後では右の裾がやや長くなっています。目立って離れた値:判定境界による外れ値は、どちらにもありません。中央半分の重なりも確かめます。

      Q1 long=76>59=Q3 shortQ_1^{\,\mathrm{long}}=76>59=Q_3^{\,\mathrm{short}}

    解答

    長い噴出の後では、待ち時間が代表値で26分長くなっています(中央値80分と54分)。散らばりはほぼ同じで(四分位範囲8分と9分)、どちらにも外れ値はありません。長い噴出の後の中央半分は76分から84分で、短い噴出の後の50分から59分より、全体が上に位置しています。

    Mlong−Mshort=26,IQR: 8, 9M_{\mathrm{long}}-M_{\mathrm{short}}=26,\qquad\mathrm{IQR}:\ 8,\ 9
  5. 同じデータで四分位数の求め方を変える 2 ステップ

    10、15、19、20、23、29、29、31、49について、二分法とタイプ7(h = (n − 1)p + 1)でQ₁とQ₃を求めなさい。それぞれの方法で、49が外れ値になるか判定しなさい。

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    1. 二分法:中央値23を除き、下位4個と上位4個それぞれの中央値を求めます。

      Q1=15+192=17,Q3=29+312=30,30+1.5×13=49.5>49Q_1=\frac{15+19}{2}=17,\qquad Q_3=\frac{29+31}{2}=30,\qquad 30+1.5\times13=49.5>49
    2. タイプ7:h = 8 × 0.25 + 1 = 3、h = 8 × 0.75 + 1 = 7なので、Q₁とQ₃はそれぞれ小さいほうから3番目と7番目の値です。

      Q1=x(3)=19,Q3=x(7)=29,29+1.5×10=44<49Q_1=x_{(3)}=19,\qquad Q_3=x_{(7)}=29,\qquad 29+1.5\times10=44<49

    解答

    二分法ではQ₁ = 17、Q₃ = 30、上側の判定境界は49.5なので、49は外れ値ではありません。タイプ7ではQ₁ = 19、Q₃ = 29、境界は44となり、49は外れ値です。

    49.5>49,44<4949.5>49,\qquad 44<49
  6. 単位を変換する 2 ステップ

    ニューカムは、各測定時間tを換算値xで記録しました。関係はt = 24.8 + x/1000で、tの単位はマイクロ秒です。xの平均値は26.21、標準偏差は10.75、中央値は27、四分位範囲は7です。tについても、これら四つの指標を求めなさい。

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    1. 定数を足すと、中心を表す指標はその分だけ移動し、散らばりは変わりません。正の定数を掛けると、中心も散らばりも同じ倍率になります。まず、中心を求めます。

      24.8+26.211000=24.82621,24.8+271000=24.82724.8+\frac{26.21}{1000}=24.82621,\qquad 24.8+\frac{27}{1000}=24.827
    2. 散らばりには、1/1000を掛けるだけです。

      10.751000=0.01075,71000=0.007\frac{10.75}{1000}=0.01075,\qquad\frac{7}{1000}=0.007

    解答

    平均値は24.82621マイクロ秒、中央値は24.827マイクロ秒。標準偏差は0.01075、四分位範囲は0.007です。

    tˉ=24.82621,Mt=24.827,st=0.01075,IQRt=0.007\bar t=24.82621,\quad M_t=24.827,\quad s_t=0.01075,\quad\mathrm{IQR}_t=0.007
  7. 裾の向きと平均値・中央値の大小が一致しないとき 3 ステップ

    100世帯のうち、大人が1人の世帯は38、2人は49、3人は9、4人は3、5人は1です。平均値と中央値を求め、分布の裾がどちらに長いか答えなさい。

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    1. 平均値を求めます。

      xˉ=38⋅1+49⋅2+9⋅3+3⋅4+1⋅5100=180100=1.8\bar x=\frac{38\cdot1+49\cdot2+9\cdot3+3\cdot4+1\cdot5}{100}=\frac{180}{100}=1.8
    2. 中央値は、小さいほうから50番目と51番目の値の平均です。最初の38個は1、39番目から87番目までは2です。

      x(50)=x(51)=2 ⇒ M=2x_{(50)}=x_{(51)}=2\ \Rightarrow\ M=2
    3. 裾は大人が4人、5人のほうへ、右に延びています。歪度も正です。

      g1≈1.2>0,xˉ=1.8<2=Mg_1\approx1.2>0,\qquad\bar x=1.8<2=M

    解答

    平均値1.8、中央値2で、右に裾が長い分布です(g₁ ≈ 1.2)。右に裾が長くても、平均値は中央値を下回っています。

    xˉ=1.8<M=2,g1≈1.2\bar x=1.8<M=2,\qquad g_1\approx1.2

補充問題(答えのみ)

  1. 2、4、4、4、5、5、7、9の平均値と標準偏差を求めなさい。

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    x̄ = 5、s ≈ 2.14

    xˉ=5,s=327≈2.14\bar x=5,\qquad s=\sqrt{\tfrac{32}{7}}\approx2.14
  2. あるデータのQ₁ = 12、Q₃ = 20です。0、8、32、33のうち、外れ値はどれですか。

    答えを表示

    33だけです。判定境界は0と32で、境界上の値は外れ値ではありません。

    12−1.5×8=0,20+1.5×8=32<3312-1.5\times8=0,\qquad 20+1.5\times8=32<33
  3. データの各値を3倍してから5を足します。平均値、中央値、標準偏差、四分位範囲は、それぞれどう変わりますか。

    答えを表示

    平均値と中央値は3 ×(元の値)+ 5になり、標準偏差と四分位範囲は3倍になります。

    xˉ→3xˉ+5,M→3M+5,s→3s,IQR→3 IQR\bar x\to3\bar x+5,\quad M\to3M+5,\quad s\to3s,\quad\mathrm{IQR}\to3\,\mathrm{IQR}
  4. ある試験の得点分布は左に裾が長く、極端に低い得点が二つあります。中心と散らばりを報告するには、どの指標を使うとよいですか。

    答えを表示

    中央値と四分位範囲です。

  5. 10、15、19、20、23、29、29、31、49について、タイプ6(h = (n + 1)p)でQ₁とQ₃を求めなさい。

    答えを表示

    Q₁ = 17、Q₃ = 30

    h=2.5: 15+0.5 (19−15)=17,h=7.5: 29+0.5 (31−29)=30h=2.5:\ 15+0.5\,(19-15)=17,\qquad h=7.5:\ 29+0.5\,(31-29)=30

間欠泉の二つの山は、噴出の違いから生まれる

間欠泉:短い噴出と長い噴出を押してください。待ち時間272件をまとめたヒストグラムには、山が二つありました。ここでは同じデータを、直前の噴出時間で分けています。3分未満の噴出の後では、待ち時間の中央半分が50分から59分の間に収まります。長い噴出の後では76分から84分です。二つの箱に重なりはありません。それぞれのグループだけで階級幅5分のヒストグラムを描くと、山は一つになります。もう一つの山は、性質の違うグループを一緒に集計したために現れたのです。分布に山が二つあるときは、何が両者を分けているのかを考えると手がかりが得られます。この例では、噴出そのものの長さを測ると答えが見えてきます。

二台の計算機で、同じ49の判定が分かれる

宿題:二分法を押してください。TI-84ではQ₁ = 17、Q₃ = 30となり、上側の判定境界は49.5です。最も長い時間の49は、そのすぐ内側に収まります。次に宿題:タイプ7を押してください。Rが特に指定しなければ使う方法です。Q₁ = 19、Q₃ = 29となり、境界は44に下がります。同じ49が、今度は外れ値です。九つのデータはそのままで、変わったのはソフトウェアだけ。ハインドマンとファンは1996年、統計ソフトで使われていた標本分位数の定義を九通り比較しました。四分位数を求めるときと、そのソフト自身が箱ひげ図を描くときとで、別の方法を使う製品も見つかりました。データが九つしかないと、求め方の違いが判定を左右します。結論とともに、使った四分位数も書き残しましょう。

右に裾が長くても、平均値は中央値より小さい

教科書には、平均値は裾の長い側に寄ると書かれています。世帯ごとの大人の人数を押してください。裾は大人が四人、五人いる世帯のほうへ、右に延びています。歪度も+1.2です。それでも平均値1.8は中央値2を下回ります。ポール・フォン・ヒッペルは2005年、入門教科書18冊のうち14冊にこの説明を見つけ、2002年の米国総合社会調査には当てはまらないことを示しました。この架空のデータは、その分布の形にならっています。中央値より小さい値が38%、中央値と同じ値が49%、大きい値が13%です。左側に多く集まった値が平均値を引き下げる一方、右側に少数ある遠く離れた値が歪度を左右します。歪度の計算では、平均値からの偏差を三乗するためです。離散データで中央値と同じ値が多いときは、平均値と中央値の大小だけに頼らず、図から分布の形を読み取りましょう。

学習の道すじ

統計学:データから比率へ

参考文献 (6)